なおきち
はじめまして
おもかげ松露庵のリポートいたします、新人スタッフのカツキです。どうぞよろしくお願いいたします!
3月26日 13:30 晴れ
松露庵 ―
ちょっと分かりにくい裏道。
閑静な住宅街。戸建てと集合住宅に囲まれ、ぽっかりと背の低い建物が現れます。そのお屋敷の上だけ、青空がちょっぴりマッドに映るみたい。 建築は昭和10年前後・・・太宰治が東京帝国大学を除籍された昔ころ!
うん。松露庵、趣きを放つわけです。
門をくぐり、広いたたきを上がってお茶室へ。
なんでしょう、時間や気流の次元がちょっと違う。
珈琲の香り。ゆるり。
わたしのなかで、ここを擬人化するなら笠智衆です。
古瀬公園に面した、縦に4畳ほどある贅沢な縁側では、撮影を終えられたお客様が日向ぼっこ、珈琲を飲みながらスタッフを交えて談笑なさっていました。
80代と90代、女性のお友達同士。
できたての写真を見てお互いを絶賛するのに、ご自分の写りには「シワが多いわ!」と不満顔で笑ったり、愉しそう。
わたしも見せていただくと、朗らかな笑顔! 得も言われぬ、その人だけの “コク” みたいなものがいっぱいに漂っていて、それが美しく惹きつけられます。
「遺影、飾られるの恥ずかしいわ!」
お一人が仰いました。
「大丈夫よ、自分は見ないのだから」
誰かの声で、そうね!と大笑い。
そうか、これは遺影でした。
次のお客様は、ある転機を迎えた心のゆらぎを、撮影の合間、珈琲を味わいながら、じっくり言葉を紡ぐように語られました。
人生は、最期まで唯一無二の物語なのですね。
最期を少し意識すると時間がリアルになる。 人生を振り返ったり自己対話したり、 自分を含む世界を愛おしむことは、未来の灯りになる。お客様をとおして、そんなことを感じました。
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懐深い旧家
豆を挽き丁寧に落とす珈琲
ゆるりとした時間と五感に寄り添う空間、
その人が内包するぬくもりや多彩な人間味を
深く感受するカメラマンさん。
遺影は、この瞬間に生きている美しさを撮ること。
『おもかげ松露庵』
この場所で、「遺影」である意味が分かってきました。
迷ったとき、挑戦したいとき、ちょっと息抜きしたいとき、愉しいときにも『おもかげ松露庵』はゆるりのんびりと心の対話にうってつけです。
リポート、長々となってしまいました。
今回は見学でしたが、次回からは「中の人」になる予定です。
どうぞよろしくお願いいたします!
(新人_カツキ)
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